腎臓内科 沿革
昭和大学藤が丘病院腎臓内科は昭和51年9月初代教授の故・越川昭三先生によって創設されました。開設当初は越川先生と、秋澤忠男・昭和大学内科学講座腎臓内科学部門・前教授の2名で発足しましたが、腎不全・透析療法の分野では各種透析技術の開発や発展、腎不全合併症に関する研究、腎炎や腎病理に関する研究、水・電解質代謝を中心とした腎生理、腎・免疫学に関する研究など、腎領域の幅広い分野で研究・臨床活動を通じて医局員も増え、腎臓内科の地位を確立してまいりました。
平成7年に2代目故・出浦照國教授が就任されると、出浦先生の研究テーマである腎不全管理における低蛋白食事療法が臨床面で特筆すべき成績を挙げ、栄養科と連携した活発な研究もおこなわれました。腎不全管理では病院内の透析施設に加えて、昭和57年から平成22年まで大学病院附属の透析クリニックを併設して維持透析患者の管理や透析関連の薬剤や医療材料の治験を数多く手がけました。この施設では昭和大学横浜市北部病院内科の衣笠えり子前・教授を所長として、医師主導の多施設共同研究や腎不全に合併した副甲状腺機能障害の新たな治療法の確立など、様々な臨床研究にも取り組みました。また多くの腹膜透析患者を管理して血液・腹膜両面の透析療法を管理する体制を構築し、現在に至っています。腎炎関連では難治性ネフローゼに関する研究や糸球体障害の進展機序に関する研究など、基礎・臨床面の研究も精力的に取り組んできました。
平成20年に就任した三代目の吉村吾志夫教授は糸球体腎炎の発症や進展に関する研究に加えて、保存期腎不全管理の効果的な治療法として、IgA腎症に対する扁桃腺摘出+ステロイドパルス療法の有効性に取り組んで優れた治療成績を挙げ、現在も有効性に関する臨床研究が継続しています。臨床面では、膠原病外来や多発性嚢胞腎の専門外来を設置して近隣の医療機関との連携を構築しています。
平成28年12月からは当医局出身の小岩が4代目教授に拝命されました。これまで秋澤忠男、出浦照國、吉村吾志夫、衣笠えり子教授を輩出した医局が築いた臨床・研究マインドを継承しながら、若手医師や学生の教育の充実、変革する医療を取り巻く環境に対応した診療、研究体制を構築し、腎臓内科学の向上・発展に寄与できるように医局員と一丸で取り組んでまいります。